非人道性について深く懸念しています――。イルカの追い込み漁を巡り、キャロライン・ケネディ駐日米大使が先月、ツイッターに投稿すると、「文化の押しつけだ」などと反発が噴出した。実は、賢い動物の「特別扱い」は文化の問題ではなく、人がいかに生きるべきかについての倫理の問題という考え方も広がっている。 「クジラやイルカを殺すところだけ残虐というのは論理的でないと思う」。追い込み漁の地元・和歌山では県知事が大使発言の直後、こう反論した。 今回に限らず、捕鯨の是非を巡る議論でも見られるのが、牛や豚などの家畜は食べるのにイルカやクジラを殺してはいけない理由があるのか、という反発だ。 あまた動物がいるなか、イルカが特別視される理由は「人間との『距離』の近さ」だ。賢さを意味する高いコミュニケーション能力など、人間に近い能力を備えているからだ。 人間であればだれでも固有の人権を認めるのが近代社会のルールだとする