子宮頸(けい)がんの原因ウイルスの感染を防ぐ「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」の接種について、厚生労働省が積極的な勧奨を中止してから、6月で5年になる。接種の有効性を示す報告がある一方で、接種後に長引く痛みなど様々な症状を訴える例が相次いだ。どちらを重くみるべきか、意見は今も分かれている。 ウイルス感染減少 示す研究報告 日本産科婦人科学会(日産婦)が主催した公開講座が3日、東京都内で開かれた。産婦人科医や公衆衛生の研究者らが、HPVワクチンの有効性に関して相次いで発表した。 公開講座では、英スコットランドの接種率が9割に及び、20代女性ではHPVへの感染率は4・5%と、接種していない集団の感染率30%に比べて大幅に低下した、との研究が示された。接種率が高くなると、集団で感染の広がりを抑える効果もある、と指摘された。国内の複数の研究でも、やはり感染などを減らせていると報告された。