本論考は『東北大学教養教育院叢書「大学と教養」第4巻 多様性と異文化理解』 (東北大学教養教育院編/東北大学出版会/2021年)の第1章として寄稿したものを、東北大学出版会の許可を得て、web公開し、多くの方に読んで頂けるようオープンアクセスとしたものです。ここでは、本書原稿に追加・修正された文章を公開しています。引用は[河田雅圭 (2021) 進化的視点からみる人間の「多様性の意味と尊重」『東北大学教養教育院叢書「大学と教養」第4巻 多様性と異文化理解』 pp.3-28, 東北大学教養教育院編/東北大学出版会]でお願いします。 本稿では、人間の進化史や、進化についての基本的な考え方を紹介した上で、現在の進化学や脳神経科学の進展をもとに、人間の多様性はどのように生じ、維持されているのか、また、人間は多様性をどのように認識し、区別あるいは差別するように進化したのか、という点を考察しています