最低でも2%程度の「経済成長」が必要だというのはよくわかるんだけども、この言葉を使う人たちの無神経さには、やはりどうしても我慢がならないところがある。 「構造改革」が逆風を受けるようなったのは2006年ぐらいからである。その背景にはホリエモン逮捕や「格差社会」論の流行もあったのだが、私の考えでは、むしろその頃に「戦後最長の好景気を実現した」ことのほうが決定的であったように思う。つまり、「戦後最長の好景気」にも関わらず、人々は収入の安定や安心から依然として程遠い状態にあり、しかも競争激化や長時間労働の問題などで、かえって体感的な生活水準は悪化している側面があった。さらには、「経済成長」が社会保障費の財源などの問題を解決するどころか、「戦後最長の好景気」の期間中もずっと悪化し続けており、この問題が到底「経済成長」だけでは解決できないことは明白になってしまった。こうして「戦後最長の好景気」の冷酷