パリ中心部にある世界的な観光名所、ノートルダム大聖堂で15日に発生した火災は、出火から4時間後の同日午後11時(日本時間16日午前6時)を過ぎても燃え続けていた。改修工事が行われていた足場周辺からは断続的に火の粉が上がり、大聖堂は白い煙に覆われていた。大聖堂の中からは時折、懐中電灯の光が見え、消防隊員による消火活動が聖堂内部でも行われていることをうかがわせた。 パリ市民の間には悲しみが広がった。大聖堂周辺は安全のため、人が近づかないように、広く非常線が張られていた。深夜にもかかわらず、非常線の外側には多くの人が大聖堂を取り囲むように集まり、消火活動を見守った。消防車が近くを通ると、歓声が起こり、鎮火への期待を示した。 集まった人々は、大聖堂を向きながら、声を合わせ聖歌を歌っていた。祈るように手を前で組み、涙を流す人の姿もあった。 パリの大学生のエティエンヌ・コンピョンさん(23)は「長い年
パリの世界文化遺産ノートルダム大聖堂で火災が起きた。この建物の構造や、重要性について専門家に聞いた。 世界遺産の火災、珍しくない 世界遺産総合研究所の古田陽久所長の話 世界遺産をめぐる火災は、残念ながら、決して珍しいものではない。昨年は、文化遺産の中国チベット自治区のトゥルナン寺(通称ジョカン寺、中国名・大昭寺)で火災が、今年2月には自然遺産に登録されているケニアのケニア山国立公園で大規模な森林火災が発生している。 火災で焼失した京都市の金閣寺などの例をあげるまでもなく、災害に起因する歴史的建造物の損傷はむしろ宿命ともいうべきもので、人間は、その中でいかに、当初からのオーセンティシティー(真正性)を保つかを苦慮し続けてきた。 今回被災したノートルダム大聖堂は、エッフェル塔などを含む「パリのセーヌ河岸」という文化遺産の構成資産の一つとしてユネスコに登録されており、単独の登録ではない。ただし、
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