お通夜に出て、浦和駅に近いビルの6階にある闘病記専門の古書店「パラメディカ」を再訪すると、あのひょうひょうとした語り口で、脱線ばかりの話が聞けなくなったことに、寂しさがこみ上げました。あれだけ闘病記を読み込んで来た人が、患者となって何を感じたのか、どんな闘病記の一節を思い出したのか、もっと発信してほしかったので残念です。 初めてお会いしたのは10年ほど前だったと思います。私自身が精巣腫瘍というがんの闘病体験を手記にし、「がんと向き合って」というタイトルで出版していたことが接点となりました。 2010年には、私が星野さんのお店兼住居兼倉庫にお邪魔し、インタビューをして記事を書きました。 このときの記事の見出しは「さすらいの闘病記おたく」。起床後、本を発送したり、メールを書いたりし、午後はチェーンの新古書店、ブックオフを電車と徒歩で巡って、ひたすら闘病記をさがす――。そんな日々を積み重ねてきた