思惑で買った茶碗を、店に持ち込んできた男の応対を番頭がする。これを高い値で買ってもらいたいと見せてきた茶碗はどう見ても安物。それを五百両か千両か、と言ってくる。そのときの番頭の応対。米朝のはこうである。 「・・・はあ、この茶碗・・・・・・これ・・・・・・これで間違い、おまへんな・・・・・・・・・・・・。えらいせっかくどしたけど、手前どもではちょっと目がとどきかねますので、どうぞ他所さんへご持参を・・・」 こう断る。いかにも京都らしい断りかただ。というか丁寧な商売人らしい断り方ですね。 ところが江戸方だと違う。 「・・・・・・、これ、何です?」 「茶碗じゃねえかよ」 「これをどうなさりたい」 「いや六百両の値打ちがあるものだけど、ちょっと急ぎの金がいるんで、半値の三百両で売りたいと、こう」 「んふ、ふふ、あははは」 「何、笑いやがる」 とここで八五郎は殴る。殴るのはどうかとおもうけど、