邦画への偏見もよくないし、モントリオール映画祭への偏見もよくない。そんなものは「シネマハスラー」はじめそこらへんの下品な映画評による一時的な刷り込みにすぎない。私だって、観れば邦画を好きになっていくはず。…と思ったので、「悪人」を観に行った。 前半は、いいじゃない! と思って見ていた。満島ひかりのビッチ芝居も、地元感のある絵づくり(国道沿いのフタタ、デートに呼子に行く、etc)もいい。地方の行き詰まってる感じが画面から伝わってくる。私が九州に住んでいるせいかも知れないが。 妻夫木聡のキャラの描写の仕方など、踏み込みが足りなげなところもある(対人的に不器用なのではなく、対人的にそつなくこなせるところがあって、それがときどき虚無の顔をのぞかせるのが、本当にからっぽの人間の姿だと、僕は思うんだな……)けど、全体的には「フローズン・リバー」とかに近い棚に置いていい、観ていて息苦しい、イエロー・トラ