障がいを持った人が農業生産に従事する「農福連携」がここへ来て広がりをみせている。これは、高齢化や後継者不足に悩む農家にとっては担い手の確保ができ、障がい者にとっては新たな就労の場の開拓になるなど、双方の課題を解決する取り組み。2018年、全国的な推進団体「日本農福連携協会」(2017年設立の全国農福連携推進協議会より継承)が発足。農林水産省や厚生労働省も後押しをしており、今年の5月には、内閣府がリーダーシップを取って関係省庁で構成する「農福連携等推進会議」も設置された。 「障がい者だからできない」という決めつけが可能性をつぶす この「農福連携」の必要性にいち早く着目し、この分野の研究を長らく先導してきたのが、JA共済総合研究所の濱田健司主任研究員・日本農福連携協会顧問だ。きっかけは、15年程前、障がい者に就労機会を提供している「障害福祉サービス事業所」の賃金を調べたことにさかのぼるという。