「ありがとう、ホンダ!ありがとう!」 「一緒に飲もうじゃないか兄弟。俺たちは本当に嬉しいぞ」 彼らは口々にこう叫び、ある者は駆け寄り握手を求め、ある者はプロレス技のベアハッグさながらの強烈なハグをし、またある者はジョリジョリとひげ面を押し付けて頬に強引にキスをしてきた。 レースに勝つということは 「いや、僕はホンダのスタッフじゃないんですよ。一緒についてきたメディアの人間でしてね……」。いくら説明しても聞き入れてもらえない。「日本人ならみなホンダ」の超拡大解釈で、バンバンと乱暴に肩をたたかれ、次々とビールが差し出される。もうメチャクチャである。 心からの狂喜。文字通りの乱舞。 こだまする「HONDA! HONDA!」の大合唱。 その声に引き寄せられるように、キャンプサイトの奥のほうからもわらわらと人々が集まって来る。ファンにガッチリ包囲された我々は、前に進むことすらままならない。 もみくち