京都大学人文科学研究所の教授、金文京(57)は、水戸黄門の印籠と同じような存在が韓国と中国に存在することに気がつき、趣味で調べ本にした。 東京生まれ、在日韓国人二世の金は、小さいころから家で韓国の文化に触れてきた。印籠と同じように平伏させる道具を持つ暗行御史(あんこうぎょし)が、諸国を回る話を知っていた。 三国志が好きで、慶応大学で中国文学を専攻し、京大大学院へ。研究するうち、水戸黄門と同じく身分を隠して諸国を巡る存在が中国でも古来あったことに気がつく。 「中国でも韓国でも似た話なのに、お互いに全く知らない。その源はなんだろうと調べたら深みにはまって」 (略) 「自分たちでなく、上の、中央の権威を借りて解決する体質が東アジア全体にある。中央集権的な官僚体制の体質です。最高権力者は自分たちのことを理解しているはずだと。周りの人間が悪い、天皇や皇帝は悪くない、と」 金は言う。「水戸黄門はたまた