『攻殻機動隊』に登場する《思考戦車》タチコマは、人工知能(AI)や「思考する身 体」についての広範な議論をおこなう素材を数多く有してい る。これらの議論をまとめてここでは「「タチコマ問題」(Tchikoma's Philosophical Problem)ととりあえず呼んでおこう。 当該の物語におけるタチコマの「進化」のストーリーを押さえておくと次のようなことになる。 戦闘機械(道具)としての戦車やその機動性を増したアームド・スーツ(ガンダムを想起されたい)は、文字通り兵士をつつみ兵士の命を守る殻 (シェル)であるとともに、外界の敵に対しては高度な殺傷能力をもつ武器そのものでもある。 このような戦闘機械のなかに包み込まれた兵士は、もともと戦闘機械が「それ自 体によって in se, per si, eo ipso」認知機能をもつ殺戮機械として機能することが期待されていた。戦車やアームドスー

