『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー 井上里/訳 創元推理文庫 2021.12.7読了 終始不穏な空気をまとっている作品だった。この先何が起こるのかわからないぞくぞくした緊迫感で、小説としてとてもおもしろく読めた。いわゆるミステリーでもホラーでもないのに、この鳥肌がたつ感じ。映画のほうが有名なようで、日本でも1986年に公開された時にはかなりヒットしたようだ。 題名の通り「ハンギングロック」という岩山にピクニックに行った際に不可解な事件が起こる。女学校の生徒3人と先生1人が行方不明になってしまうのだ。予兆として、腕時計の針が12時で止まってしまってしまうなど怪奇的なことも起きていた。事件なのか、事故なのか、オカルトなのか。 失踪した少女たちの謎も気になるのだが、ピクニック後のこの女学校の崩壊ぶりが恐ろしい。ピクニックとは直接関係のない人たちが取り憑かれたようになる。こ
幻想世界のなかで異彩を放つ、“フクロウの吐くペリット”。 現実世界と空想世界に、ほんとうに実在する「ペリット社」。 当「ソトブログ」では断続的に、そして手前勝手かつ無手勝流に、野鳥にまつわる映画や文学作品を紹介する、というレビューを書いています。そんなことを続けておきながら、野鳥についてもビギナーで、文学者でも評論家でもないわたしにとっては実はそれは、とてもハードルが高い作業なのですが(とはいえとても愉しいことでもあって、最近は何を観ても、何を読んでも鳥たちを探している自分がいます)、今回取り上げる作品は更に険しい。その頂の名は――、 ・山尾悠子『飛ぶ孔雀』(文藝春秋刊、単行本:2018年、文庫:2020年) 飛ぶ孔雀 (文春文庫) 作者:山尾 悠子 文藝春秋 Amazon 飛ぶ孔雀は飾り羽根を畳み、下から茶色の風切り羽根の列をあらわして烈しく飛翔する。苛烈な羽音、艶やかな光沢のある青い首
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く