ヤマト運輸の故小倉昌男元社長も、ザ・マーケティングCEOと呼びうる好例であろう。周知の通り、小倉氏は、宅急便という新しい事業モデルを開発・導入することに成功し、同社を再興した名経営者と言われる。宅急便事業が社の存立に関わる最重要課題であったため、社長として関わるのは当然だったかもしれないが、文字通りマーケティング活動の全領域で直接指揮を執っている。宅急便の市場投入に成功してからも、クール宅急便などの新たな後続サービスの開発や市場投入にも直接タッチしているし、細かく社員に指示も与えている。こちらも、ジョブズ氏に負けず劣らぬザ・マーケティングCEOである。 セブンイレブンの鈴木敏文元社長(現IYホールディングス会長)もマーケティングに深く関わっている。同氏は、セブンイレブンのマーチャンダイジングや店舗運営に社長として直接関与していたと言われる。例えば、新商品として開発した惣菜や弁当を試食して、