「神の眼」を持つといわれ、今世紀最も偉大な写真家と称される男がいる、セバスチャン・サルガドだ。ブラジル金鉱で働く男たち、爆発しつづけるクウェートの油田を消火する消防士、悲壮感漂うルワンダの難民たち、数百万羽ものペンギンたちの群れなど、その圧倒的なインパクトで人々の魂を揺さぶり、観るものを非日常へとつれ去ってしまう彼の写真。セバスチャン・サルガドの場合、写真というよりは一級の絵画のように、まるで何かを超越している。 彼の写真に心を奪われた著名人は少なくない。日本では、緒方貞子・坂本龍一・寺島しのぶら各界有名人が彼の写真に魅了されたと公言している。どうやらHONZ代表の成毛眞もその一人のようだ。 本書はその稀代の写真家の人生を記した初の自伝。写真家の彼が被写体として選んだ「飢餓」「肉体労働」「移民」「難民」「虐殺」といったテーマは、20世紀から21世紀を生きる我々が抱える一大テーマでもあり、彼