2002年,日本,65分 監督:河瀬直美 撮影:河瀬直美 出演:西井一夫 画面に映っているのは病院のベットに寝ている男。河瀬直美は写真評論家の西井一夫に呼び出され、末期ガンでホスピスにいる彼の人生最後の日々を撮影してくれるよう頼まれる。映画は何の説明もないまま滑り出し、あいだに風景ショットなどを挟みながら、ただただ病人の姿を映し出す。 人も、時間も、場所も全く説明がないが、それを映画から理解することは容易であり、その理解していく過程にある濃密な時間は観客が映画に参加するための重要な手がかりである。この映画は観客を観客としておいておかず、映画の中へ中へといざなってゆく。 これを映画にすることができたのは紛れもない河瀬直美の才能だ。死期が迫るの病人が寝るベットの傍らに座り、カメラを回す彼女は冷徹な観察者とはならず、看護の手伝いをしいろいろな話をする友人としている。片手でカメラを持ちながら、もう