2010年06月20日09:04 カテゴリ本経済 国家資本主義の呪縛 政府の「新成長戦略」をみると、依然として「環境産業や健康産業で成長する」という類のターゲティング政策が並んでいる。このように政府がビジョンを打ち出して民間を指導する国家資本主義は、先進国ではとっくに終わっているのに、今ごろ「よい公共事業」という形で墓場からよみがえるのは困ったものだ。本書は世界の国家資本主義を概観したもので、その中心はもちろん中国である。 健全な民主主義が機能している国では健全な資本主義が発達するが、その逆は必ずしも真ではない。かつての韓国や台湾のように、民主主義がなくても「開発独裁」によって成長することができる。目的が明確で資本の足りない後発国で「追いつき型近代化」を急速に進めるには、国家資本主義で戦略産業に資本を集中することが効率的である。 中国やロシアは、かつては軍事的脅威だったが、今は経済的脅威で