「数学は科学か」という問いは、数学に関する問いであるというよりも、むしろ科学に関する問いである。なぜならば、「数学」よりも「科学」のほうが、あいまいな概念だからだ。 「数学は科学か」という問いに答えるには、「どこまでが科学なのか」を決める必要がある。「どこまでが科学なのか」が決まれば、そこに数学が入るのかどうかもわかる。では、どこまでが科学なのか。 「科学」という語には、主に次の4つくらいの意味・用法がある。 1 自然科学のみを指す 2 経験科学(自然科学+社会科学)を指す 3 経験科学(自然科学+社会科学)および形式科学を指す 4 学問全般を指す この4つのうち、まず1と4はここで扱わない。理由は次のとおり。 - 1は狭すぎる。これだと、社会科学を含まなくなってしまう。 - 4は広すぎる。これだと、なんでもかんでも科学になってしまう。 残るは2と3である。この2つのうち、私が共感するのは