かつての米ソ冷戦時代は、両国主導で宇宙開発が推進されてきたのに対し、冷戦後はヨーロッパ・中華人民共和国・インドなどが、独自の宇宙開発を発展させている。かつて海洋を制した大国が世界を制したように、宇宙空間や月面の利用は、大国間のパワーバランスを大きく左右する。また、衛星の製造・運用・ロケットの打ち上げなどが民間に移管され、国際市場を通じた調達が一般化しているなど、グローバル化も進んでいる。 一方、日本の宇宙開発の基本方針は、本法案の策定時点では文部科学省の宇宙開発委員会で定められていた。これは旧科学技術庁が推進してきた実用目的の宇宙開発と、東京大学に端を発する宇宙科学研究が、省庁再編で文部科学省に統合されたことによる。このため、日本の宇宙開発は主に新技術の開発と実用化、宇宙科学の研究といった視点から進められてきた。この結果、多額の税金を投入して開発した技術であっても商業的な競争力が乏しく、衛