中国やインドの人件費高騰については、委託先をベトナムに変更することで解決した。だが、最初からベトナムと決まっていたわけではない。リクルートは2011年6月から約8カ月かけて、委託先の候補となる国を調査した。 委託先の国は二段階で絞り込んだ。まずは世界中の平均所得を調べ、その上で、平均所得が低い国の人口や識字率、日本文化を理解しているかどうか、などを調査した。その結果、中国、インド、フィリピン、ベトナム、タイ、ミャンマー、ネパールの7カ国が、委託先の候補に残った。 次に、技術者のスキルや人員数、人件費などの観点でこれら7カ国を調査し、最終的に残ったのがベトナムだった(表)。ベトナムの人件費は、中国やインドの約6割といわれている。さらに、約4000人の技術者を抱えるFPTソフトウェアなど規模の大きいITベンダーがあったことも決め手になった。ベトナムにおけるオフショア開発の実績は十分ではなかった