坂本龍一の「ジャージが不愉快」「一人でご飯を食べている人も不愉快」という発言に対して、ブログを辿ってみたら「そんな人だとは思わなかった」という意味のコメントが載っていて驚いた。ぼくは特に坂本龍一が好きでも嫌いでもないけれど、彼は常に「そんな人」だったと思う。 坂本龍一は徹頭徹尾、頑固なロックンローラーだった。YMOがアコースティックギターでライブをやったときに「アイデンティティから軽やかに逃走するなんて!」と評されもしていたのと同じ時代、アメリカではロン・ハーディ、イタリアではダニエル・バルデリがすでに活躍していて、彼らはアイデンティティという概念を知らなかったかもしれないけれど、スキゾフレニーのように、人の曲をべらぼうな速さでかけたりつないだり切り離したりループしたりサンプリングしていたのだから、YMOはむしろ、オーディエンスと向き合い、「俺たちはここにいる」と真摯に伝えるロックンローラ