今年はコロナ禍で延期や中止が相次いだ教育実習。学生にとっては、教壇デビュー前の大事な実践の場だ。その教育実習に、聴覚に障がいのある学生が臨んだ。「緊張の連続でした」という経験から彼が得たものとは。また、文部科学省が掲げる「障がいのある教員の雇用」は今後進んでいくのか――。(ライター・長瀬千雅/Yahoo!ニュース 特集編集部) 2020年10月下旬。愛知教育大学5年生の上田大貴さん(22)は、愛知県立千種聾学校幼稚部の子どもたちと対面した。2週間の教育実習の初日である。 「はじめまして、うえだたいきです。わたしは、耳が聞こえません。みんなの口の動きを見ないと、どんなことをお話ししているかわかりません。マスクをはずして話しかけてくれると、うれしいです」 上田さんは特別支援学校の小学部の教員を目指している。聴力レベルが100デシベル前後の重度難聴(全ろう)で、両耳に補聴器をつけて生活する。車の