村上春樹の作品は発刊されるたびに毎回さまざまな意見が飛び交います。大量入荷のわりに売れ行きがあまり良くなかったという話もある本作ですが、今回は『騎士団長殺し』の意見が大きく分かれるポイントを解説していきたいと思います。 『騎士団長殺し』第1部。過去作と類似点が多い導入都会で肖像画を描く仕事をしていた主人公「私」は、とつぜん妻に離婚してほしいと言われ、離婚届を渡されます。ショックのあまり「仕事をしばらく休む」と仕事仲間にいい、車で東北地方を走り回るのですが、その道中で大学時代の友人から、祖父の別荘に住んでみないかと提案されるのでした。高名な画家であった彼の祖父は、現在は認知症施設に入所しており、別荘は買い手が見つかるまで放置されてしまっているとのことで、主人公はその別荘にしばらく住んでみることにしました。 ある日の夜遅く、寝ていた主人公はどこかから聞こえてくる鈴の音で目が覚めます。その音は毎