日本と台湾は、2016年度の日台漁業取り決め(協定)適用水域の操業ルールを、昨年度通りにすると決めた。 沖縄が求めてきた漁船間隔4カイリ(約7・4キロ)適用や操業範囲など、詰めるべき論点が多岐にわたっているにもかかわらず、ほとんど成果を上げられなかった。事実上の問題先送りで残念だ。 そもそも沖縄の頭越しに結ばれたこの協定の対象水域は、日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれる。日本政府は台湾との交渉で、主体性を発揮し沖縄の漁民が安心して操業できるルールを策定する責任がある。 13年に締結した協定は最初から政治色を強く帯びていた。尖閣問題で領有権を主張する台湾と中国が共闘するのを阻むため、安倍政権が尖閣周辺の日本のEEZ内で台湾漁船の操業を認めた。沖縄の漁民は自国EEZ内でありながらクロマグロなどの好漁場を狭められ、不利益を被ることになった。国策のために沖縄に犠牲を強いる構図だ。 一方、台湾側