起業人 先達の苦難の道のりには、汗と涙に彩られた無数のドラマがある。そして、起業家達の苦闘の中には明日への成功のヒントとノウハウが凝縮されている。 バックナンバー一覧 56歳──。中嶌重富がアラヤを起業したのは、一般的に言えば定年近い年のころ。しかし、輸出製品の取扱説明書(取説書)などの翻訳専業会社を立ち上げ、いまや翻訳者・校正者500人と契約、300社以上と直接取引を行うまでに規模を拡大させている。 翻訳専業会社としては、実に国内4番手。ここまでこれたのは、型破りな経験を積んできたからだ。 高校を卒業してすぐ銀行に入行したが、それ自体、突然決めた道だった。自分でも当然、大学に進学するものと思っていたのだが、ある日、父親と大げんかし、「世話になるのは嫌だと思い」就職したのである。 なぜ銀行だったか。中嶌の通う普通高校には就職する男子生徒などいなかったから、相談に応じた先生が「女子生徒の多く