アジャイル(俊敏)なソフトウェア開発手法として誕生した「Scrum(スクラム)」が今、組織にイノベーションを起こすための手法として着目され、その利用が広がっている。今なぜScrumが重要視されるのか。Scrum誕生の理論的基盤になった論文を執筆した一橋大学の野中 郁次郎 名誉教授と、Scrumを生み出したジェフ・サザーランド博士に聞いた。(聞き手は志度 昌宏=DIGITAL X編集長、文中敬称略) ――サザーランド博士は、野中 郁次郎 名誉教授らが1986年に執筆された『The New New Product Development Game(新しい新商品開発ゲーム)』に触発され、ソフトウェア開発手法の「Scrum(スクラム)」を確立されたわけですが、論文を読まれた第1印象は、どうでしたか。 ジェフ・サザーランド博士(以下、サザーランド) 私は1983年から、種々の会社でコンピューターシ