関西出身ではない人が漫才ネタを作る場合には、ひとつの大きな壁がある。それは、ツッコミの嘘臭さをどのように克服するか、ということだ。 いわゆる「ボケとツッコミ」は、関西の文化である。関西人の日常会話では、相手のボケに対してツッコミを返すのが自然であり、その関係性は疑うまでもない。だから、関西芸人は、ボケとツッコミの関係性を軸にしてそのまま漫才を組み立てていけばいいのだ。 だが、非関西芸人の場合にはそうはいかない。関西出身ではない人間にとって、「ツッコミ」とは基本的に白々しく、嘘臭いものだ。関西弁の「なんでやねん」は自然だが、標準語の「なんでだよ」「おかしいだろ」はかなり非日常的な言い回しである。非関西圏では、笑いは「ボケ」で完結される。ボケて笑って、それでおしまい。ツッコミを待つようなボケもなく、ボケにぴったり合うようなツッコミもない。 だから、非関西芸人が漫才を演じるにあたっては、ツッコミ