――これまで生物か無生物かの違いは、自らたんぱく質を合成できるかどうかで分けられてきました。言い換えれば、たんぱく質の合成に深く関わっている細胞内のリボソームの遺伝子を手がかりに生命の系統樹は描かれ、ウイルスはそこには一切含まれません。そのことをどう考えますか。 自分はウイルスは生命体であると考えているので、ウイルスが生命の系統樹に含まれないのは残念だ。リボソーム遺伝子だけでなく、すべてのウイルスに共通する遺伝子は存在しないので、すべてのウイルスの関係を表す系統樹を作ることはできないが、ウイルスは常に細胞と共に進化してきた。私自身はウイルスについて、生命の系統樹の幹や枝の周りをグルグル伝うツル植物のような関係というイメージを持っている。 ――ウイルスを「たんぱく質の殻(カプシド)をつくる遺伝情報を持った生命体」と定義するよう提唱されました。何がきっかけだったのですか。 2006年に自分が主
![「ウイルスと細胞、数十億年の軍拡競争」 進化生物学者の視点:朝日新聞GLOBE+](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/15167e9d31f2acc298672dc3158023b009851c02/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fp.potaufeu.asahi.com%2F892d-p%2Fpicture%2F23168091%2Fdab3f66a942ff3557c56f2358b8087ea.jpg)