ブックマーク / www.nikkei-science.com (45)

  • 「理解」はどう変わるか 瀧雅人氏に聞く

    「観測した現象を,シンプルな法則とかコンパクトな数式とか,人間が把握可能なサイズのものに押し込めることを僕らは『理解』と呼び,そういう説明を見いだすことを『現象を理解した』と思ってきましたが,それは人間の脳や,その上に実装されている知性に課せられている制限条件のもとで物事を把握するうえで都合がよいからです」 ──瀧雅人 大規模言語モデルの登場で,AIは急速に賢くなったように見える。どんな質問に対しても人間と区別がつかないほどの自然な受け答えをし,文章や画像を人間以上にうまく作れる。さらに,学習量が増えると,それまでできなかったことが突然できるようになる能力の創発現象が見いだされた。将来,AIが科学者を代替する可能性はあるのだろうか? 素粒子物理学から機械学習の研究に転じた立教大学准教授の瀧雅人氏は,人間の理解は人間の脳のサイズや機構に縛られた1つの方法にすぎず,AIには新たな理解の仕方があ

    「理解」はどう変わるか 瀧雅人氏に聞く
    tokyocat
    tokyocat 2023/10/21
    “素粒子物理学から機械学習の研究に転じた立教大学准教授の瀧雅人氏は,人間の理解は人間の脳のサイズや機構に縛られた1つの方法にすぎず,AIには新たな理解の仕方があると語る。”
  • ChatGPTの頭のなかをのぞき見る

    「この小説の続きを考えて」「英文を和訳して」「新商品のアイデアを出して」──ChatGPTは,人間のあらゆる無茶振りにまじめに答えてくれる対話型AIだ。ユーザーによって色々な使い方が考案され,「こんな使用法がある」「AIがこんな回答を返してきた」といった話が日々のニュースやSNSを賑わせている。 しかし,このAIが最も興味深い姿を見せてくれるのは,人間の質問にうまく答えられた時ではなく,間違った回答をした時だ。数学の問題を解かせると,ChatGPTは人間がまずしないような,妙な間違い方をすることがある。突然しれっと「もっともらしいウソ」をつき,文章の文法構造を問うととんちんかんな答えをする。 実は,ChatGPTはネット上にある大量のテキストを読み込んで文章中の単語と単語の関係性を学習しているだけで,四則演算をはじめとした数学や,国語の文章の読解方法といった個々の知識体系を一切教えられてい

    ChatGPTの頭のなかをのぞき見る
    tokyocat
    tokyocat 2023/10/21
    “ただ,AIが習得した数学や国語の知識は,どうも人間が知っている数学や国語のそれとは違うようだ”
  • 生物の形を決める遺伝子スイッチ

    S. B. キャロル(ウィスコンシン大学マディソン校) B. プリュドム N. ゴンペル(ともにマルセイユ・リュミニ発生生物学研究所) 長い間,動物どうしの形態上の差異はゲノムの違いを反映したものだと考えられてきた。だから,ゲノムを比較すれば,違いを生み出している遺伝子を突き止められると思っていた。ところが,マウスやラット,イヌ,ヒト,チンパンジーなど哺乳類のゲノムを比較してみると,持っている遺伝子はどの動物も非常に似通っていた。それぞれの動物のゲノムに含まれる遺伝子の概数(ざっと2万個ほど)や,多くの遺伝子の位置関係は1億年以上にわたる進化の過程でかなりよく保たれてきた。 遺伝子数や位置にまったく違いがないというのではない。しかし,遺伝子のリストを一見しただけでは,そのゲノムがマウスのものなのか,それともイヌやヒトのものなのかはわからない。例えば,マウスとヒトのゲノムを比較してみると,ヒ

    生物の形を決める遺伝子スイッチ
    tokyocat
    tokyocat 2023/03/05
  • あなたの内面を探る 感情認識AIの危うさ

    感情認識AIは表情などを分析し,感情など人々の内面を可視化する技術。現在,人気の高い市場調査ツールとなっているが,その用途はもっと重大な分野に広がっている。感情や性格,意図に関する手がかりを読み取るシステムが,国境での検問や求職者の評価,授業の退屈さや混乱の監視,危険運転の兆候の把握などに使われるか,または試されているのだ。また,大手自動車メーカーはこの技術を次世代車に組み込むことを計画しており,アマゾンやマイクロソフト,グーグルなどの技術系企業はクラウドベースの感情認識AIサービスをしばしば顔認証技術とセットで提供している。さらに,数十社の新興企業が,企業が採用決定を下すのを支援するアプリケーションの提供を開始している。 AIシステムは様々なデータを使って感情や行動を読み取る。表情や声の抑揚,身振り,歩き方に加え,発言や記述文の内容を分析して感情や考え方などを把握する。収集したデータを使

    あなたの内面を探る 感情認識AIの危うさ
    tokyocat
    tokyocat 2022/08/01
  • 人類最初のアメリカ大陸への旅

    アメリカ大陸への人類の拡散については,東アジアにいた単一の集団が最終氷期極大期の後にベーリング陸橋を渡ってアメリカ先住民のもとになったとされる。だが近年の遺伝学的研究から,実際はもっと複雑で,シベリアと東アジアの複数の集団が合流・分岐して祖先集団となったことが判明した。その後,西海岸沿いを舟で南下して広がった可能性が濃厚だ。 著者Jennifer Raff カンザス大学の人類遺伝学者。先史時代に人類が北米に入植した過程などを探るため,現代人とその祖先のゲノムを調べている。 関連記事 「アジアから新大陸に渡った最初の人々」,H. プリングル,日経サイエンス2012年3月号。 原題名Journey into the Americas(SCIENTIFIC AMERICAN May 2021) サイト内の関連記事を読む人類学/考古学 キーワードをGoogleで検索する最終氷期極大期/クロービス尖

    人類最初のアメリカ大陸への旅
    tokyocat
    tokyocat 2021/10/23
  • シンクロすると心がつながる 同期運動の科学

    突進してくる車にひかれそうになっているマーチングバンドの仲間を救うためなら,自分は迷わず身を投げ出すだろう――マークス(Steve Marx)はそう語る。 戦友についてこの種の表現を耳にすることはよくあるが,彼はペンシルベニア州にあるゲティスバーグ大学でマーチングバンドを率いるミュージシャンだ。高校時代から20年以上にわたってマーチングバンドに参加してきた彼は,楽隊員への強い連帯感をこう表現した。「とても強い結束が生まれる。家族と同然だ」。全員がそろいのユニフォームをまとい,楽器を持ち,左足そして右足と完璧にそろった動きで行進する。動きと楽音が完全に同期し,個々のメンバーがグループ全体にとけ込んでひとつになる。音楽も魅力ではあるが,全員が同じ仲間であるという意識を生み出しているのはむしろ,ともに行進するという行動なのだという。 自然に生じる同期運動も 多くの集団行動が帰属意識を高めるが,特

    シンクロすると心がつながる 同期運動の科学
    tokyocat
    tokyocat 2021/04/30
    ★興味深い!  でもウイルスはシンクロしてくれないんだろう
  • 2020年ノーベル物理学賞:ブラックホール 理論と観測の3氏に

    2020年のノーベル物理学賞はブラックホールがこの宇宙に実在することを理論と観測で示した理論物理と天文分野の研究者に贈られる。一般相対性理論の研究からブラックホールが現実の宇宙で必然的に生じうることを1960年代に示した英オックスフォード大学のペンローズ(Roger Penrose)名誉教授と,天の川銀河の中心を周回する天体を1990年代初めから長期的に観測して巨大ブラックホールが存在することを明らかにした独マックス・プランク地球外物理学研究所のゲンツェル(Reinhard Genzel)教授とカリフォルニア大学ロサンゼルス校のゲズ(Andrea Ghez)教授の3人。賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億2000万円)の半分がペンローズ氏に,残り半分がゲンツェル,ゲズ両氏にそれぞれ贈られる。 星がつぶれてだんだん小さくなり,ブラックホールになる過程を図に示す。最初は星の表面から出た光

    2020年ノーベル物理学賞:ブラックホール 理論と観測の3氏に
    tokyocat
    tokyocat 2020/10/07
  • 神経回路網はどのように知性を生み出すのか

    脳から意識がどのように生まれるのか? この疑問から生まれた新たな学問分野「ネットワーク神経科学」では,読み書きや計算,簡単な動作といった行動を可能にしている脳領域間の結合を,グラフ理論という数学の手法を使ってモデル化する。視覚や注意,自制などの認知能力を生み出す機能的ネットワークを形作っている身体的な神経経路をモデル化する。異なる脳領域間の入念に調整された相互作用から,精神活動が立ち上がってくる仕組みが見えてきた。うつ病などの精神疾患を診断・治療する新手法の開発など,実用的な恩恵も期待できそうだ。 再録:別冊日経サイエンス255『新版 意識と感覚の脳科学』 再録:別冊日経サイエンス243「脳と心の科学 意識,睡眠,知能,心と社会」 著者Max Bertolero / Danielle S. Bassett バセットはペンシルベニア大学生物工学科の准教授で,物理系と生物系のネットワークを研究

    神経回路網はどのように知性を生み出すのか
    tokyocat
    tokyocat 2020/02/20
  • ファルコンズ・アイ小林快次に聞く 恐竜の大進化

    脊椎動物の進化史において,恐竜は巨大化,鳥化,多様化という3つの大進化を完成させたとんでもない存在である。国内外のフィールドで多くの恐竜化石を発見,同定し「ファルコンズ・アイ(はやぶさの目)」の異名を取る北海道大学准教授の小林快次は,恐竜進化の知られざる実態を次々に明らかにしてきた。「恐竜という生物を特徴づけているのは,それが生物の進化史の上でどれだけすごいことを成し遂げたのかということだと考えています。通常の種分化をはるかに超えた,とんでもなく大きな進化,いわゆる大進化(マクロエボリューション)です」と語る。 生物集団の中で,特定の遺伝子の頻度が自然選択や遺伝的浮動などのために変化することを「小進化」(ミクロエボリューション)という。これに対して,種分化以上のレベルの進化現象,様々な種の出現,絶滅などを「大進化」と呼ぶ。恐竜が成し遂げた大進化は,「巨大化」「鳥化」「多様化」の3つだ。恐竜

    ファルコンズ・アイ小林快次に聞く 恐竜の大進化
    tokyocat
    tokyocat 2020/01/19
    “種分化以上のレベルの進化現象,様々な種の出現,絶滅などを「大進化」と呼ぶ。恐竜が成し遂げた大進化は,「巨大化」「鳥化」「多様化」の3つだ”
  • SNSが加速するタコツボ社会

    東日大震災の直後,人々はSNSで発信する科学者の言葉に耳を傾けた。だがその後急速に,科学者の言葉は届かなくなった。 科学コミュニケーションや科学ジャーナリズムと社会の関係を研究している早稲田大学准教授の田中幹人と同大研究員の吉永大祐らは,このほど,原子力発電所の事故から3年間にツイッターに投稿された「福島」に関する発言を抽出し,誰の発言がどのように共有・拡散されたかを網羅的に解析した。そこから浮かび上がったのは,巨大災害の直後にはコミュニケーションの要となっていた科学者たちが急速に影響力を失い,科学を懐疑的,あるいは陰謀論的に見る人々に取って代わられていった過程である。わずか2年の間に,科学者たちの声は科学者とその周辺,そして一部の保守層にしか届かなくなった。東日大震災から8年目を迎えた今,SNSという新たなメディアで福島がどのように語られてきたのか。そこに科学者らがどのようにかかわっ

    SNSが加速するタコツボ社会
    tokyocat
    tokyocat 2019/05/24
    読んだ
  • ミツバチの言語

    この記事では,ミツバチが仲間たちに情報を伝える方法に関してフォン・フリッシュ(Karl von Frisch)が行った驚くべき実験について述べよう。 彼は初期の実験で,ミツバチが何らかのコミュニケーション手段を持っているに違いないことを示した。1匹のハチがおいしい物源(彼は濃い砂糖水を使った)を見つけると,間もなく同じ巣から多数の他のハチたちがその物のところへやって来るからだ。ミツバチが互いにどのようにコミュニケーションしているのかを調べるため,フォン・フリッシュは一片のハニカムをガラスの箱に入れて外から見えるようにした特別な巣を作った。ガラス越しの観察によって,彼はおいしい物源から戻ってきたハチが巣の垂直な側面の上で特別な動きをすることを発見した。彼が「ダンス」と呼んだ行動だ。フォン・フリッシュは早い段階でダンスに2種類あることに気づいた。歩行軌跡が円を描く「円ダンス(円舞)」と,

    ミツバチの言語
    tokyocat
    tokyocat 2019/05/05
  • シカは南北方向へ逃げる〜日経サイエンス2016年12月号より

    磁気感覚を備えているのだろうか? のんびり草をべているシカが何かに驚くと,群れ全体が一斉に整然と走り出す。恐怖にかられパニック状態に陥っていてもおかしくない動物たちが,どうやって互いにぶつからず整然と逃走するのだろうか? チェコ生命科学大学プラハの生物学者ブルダ(Hynek Burda)らはノロジカに注目した。欧州に生息しているシカで,草原で草をんでいることが多い。狩猟の標的として好まれているので,人間が危険だと知っており,人が近づくと逃げ出す。ブルダらは2014年の春と夏,チェコにある3カ所の狩猟場でシカの群れ188グループを意図的に驚かした。 当然の予測として,シカは近づいてくる脅威と反対の方向に逃げるか,最寄りの茂みに向かうだろうと考えられた。ところが実際には,北か南の方角に逃げる傾向が見られた。 ブルダはこの観察から,ノロジカは体内に一種のコンパスを持っていて地磁気を感知できる

    シカは南北方向へ逃げる〜日経サイエンス2016年12月号より
    tokyocat
    tokyocat 2019/04/14
    政党は左右方向へ逃げる?
  • 120歳時代 健康寿命を延ばす道

    これまでで最も長生きした人は,とあるフランスの女性で,1997年に122歳で亡くなった。現在最高齢の男性はイスラエルに住む112歳。こうした百寿者は普通の人よりも老化が実際に遅いようだ。極端なカロリー制限が細胞の寿命に影響することが示され,事制限で誘導される細胞機構が寿命を延ばすカギを握っていることがわかってきた。これらの経路を薬で活性化すれば,空腹感なしに同じ効果を得られるだろう。糖尿病治療薬や抗がん剤などの中にはこれらの機構に働きかけるものがあり,抗老化薬としての効果を評価する臨床試験が始まろうとしている。分裂・増殖を停止した「老化細胞」を除去する方法も追求されている。 再録:別冊日経サイエンス231「アントロポセン──人類の未来」 再録:別冊日経サイエンス225「人体の不思議」 著者Bill Gifford サイエンスライター。著書に老化の科学に関する「Spring Chicken

    120歳時代 健康寿命を延ばす道
    tokyocat
    tokyocat 2019/03/10
    “極端なカロリー制限が細胞の寿命に影響することが示され,食事制限で誘導される細胞機構が寿命を延ばすカギを握っていることがわかってきた”(2017年1月号)
  • ハイになって踊るタコ〜日経サイエンス2019年2月号より

    幻覚剤がタコに及ぼす影響から社会行動の起源に迫る 最近,幻覚剤のMDMA(「モリー」や「エクスタシー」などとも呼ばれる違法ドラッグ)を数匹のタコに与える実験が行われた。タコ史上最高にハイになった個体を観察しようとの「イグノーベル賞」狙いの試みに思えるかもしれないが,この研究をCurrent Biology誌10月号に報告した科学者によると,トリップ状態の頭足類は人間を含む動物界全体に見られる社交性の起源を解明するのに役立つ可能性がある。 「私たち人間は,自分たちの由来を知りたいと望んでいる」とジョンズ・ホプキンズ大学医学部の神経科学者でこの研究論文を共著したデーレン(Gül Dölen)はいう。「MDMAは多くの生物種に見られる社会行動を調べるための驚くべきツールだ」。 MDMA(3,4-メチレンデオキシメタンフェタミン)はニューロン(神経細胞)にある輸送タンパク質に結合し,ニューロンが利

    ハイになって踊るタコ〜日経サイエンス2019年2月号より
    tokyocat
    tokyocat 2019/01/09
  • 免疫の「ブレーキ」解除でがんをたたく(再録) | 日経サイエンス

    抗がん剤や放射線治療が腫瘍を直接攻撃するのに対し,免疫療法は身体自身の防御機能を引き出して悪性腫瘍と闘わせる。従来の免疫療法のほとんどは,免疫細胞の力を増強してがんを攻撃しようとしていた。アクセルを踏んで車を加速するようなやり方だが,残念ながら効果は限定的で,がん治療の主流にはなり得ないと見られていた。 だが1990年代に入ると,当時カリフォルニア大学バークレー校にいたアリソン(James P. Allison)氏らが,体の免疫応答の暴走を抑えるCTLA-4を一時的に無効にすれば免疫ががん細胞を攻撃でき,腫瘍が縮小するのではないかと予想。マウスの実験で狙い通りの効果を上げ,「免疫療法はたいして効かない」という見方を覆した。2011年,米FDAは,CTLA-4を抑える抗体を使った新たな抗がん剤イピリムマブを承認。またこれとは独立に京都大学の庶佑氏らが研究していたPD-1も違う機構で免疫にブ

    免疫の「ブレーキ」解除でがんをたたく(再録) | 日経サイエンス
    tokyocat
    tokyocat 2018/11/14
    ゲンセンカン主人
  • 友達の友達は自分そっくり?〜日経サイエンス2018年10月号より

    個人の隠れた個性をソーシャルネットから明らかにする方法 人は自分と似た人と一緒に過ごすことが多いので,オンラインや現実世界の社会的ネットワークを解析することによって,その人の考え方や性格を容易に推測できる。考え方の似た人を探し求めるこの傾向は「ホモフィリー」と呼ばれる。「類は友を呼ぶ」ということわざ通りだと,このテーマを研究しているスタンフォード大学の経営科学工学研究者ウガンダー(Johan Ugander)はいう。 だが驚いたことに,ウガンダーと大学院生のアルテンバーガー(Kristen M. Altenburger)は,一部の人は自分と異なる性格の人に一貫して惹かれることを見いだした。彼らはこれを「モノフィリー」と呼んでいる。以前は,友達ネットワークに基づいてそれらの人々について結論を引き出すうえで異質性は妨げになるだろうと考えられていた。だがウガンダーとアルテンバーガーの研究は,自分

    友達の友達は自分そっくり?〜日経サイエンス2018年10月号より
    tokyocat
    tokyocat 2018/09/11
    “一部の人は自分と異なる性格の人に一貫して惹かれる”
  • 科学はいかに生まれたか

    この世界の成り立ちを理解したい。人間は太古の昔からそんな欲求を抱いてきた。それは宗教を生み,占星術をもたらし,哲学を育んだ。その中から仮説の構築と観測による検証という科学の方法論が立ち現れた。近代科学への胎動は16世紀半ばから始まり,コペルニクス,ガリレオ,ケプラー,デカルト,ホイヘンス,ライプニッツらによって発展。17世紀にニュートンが構築した力学によって,その基礎が確立した。先人たちが知を積み上げ,影響し合いながら科学の体系を作り上げていった道程は,彼らが著した書物によって今に伝えられている。 そうした歴史的書物の世界有数のコレクションが,日にある。金沢工業大学の「工学の曙文庫」だ。アリストテレスからハイゼンベルクまで,世界の科学をつくってきた2000冊余を収蔵する。この9月,その蔵書が東京で公開される。この機に代表的な書物を改めて繙き,科学がいかに生まれたか,3人の識者に聞いた。

    科学はいかに生まれたか
    tokyocat
    tokyocat 2018/08/27
    《ニュートン『プリンキピア』,ダーウィン『種の起源』 今ある事実を見えざる過程で語る 語り:デイヴィッド・ドイチュ/聞き手:古田 彩》 読みたい!
  • 浮上した直接崩壊シナリオ

    誕生から10億年以内の宇宙に約10億太陽質量のブラックホールが存在していたことが観測から明らかになっている。従来のブラックホール形成シナリオ,つまり大質量星の死を出発点とするシナリオでは,観測されているような巨大ブラックホールを10億年よりも短期間に形成することは不可能だ。宇宙初期の巨大ブラックホールはどうやって形成されたのだろう。著者たちはブラックホール形成の新しいシナリオを提案している。巨大ブラックホールのタネが,星の誕生と死を経ずに,ガス円盤から直接形成されたというものだ。 再録:別冊日経サイエンス241「巨大ブラックホール 宇宙と銀河の進化を探る」 著者Priyamvada Natarajan エール大学の理論宇宙物理学者。専門は宇宙論と重力レンズ効果,ブラックホール物理学。 関連記事 「ブラックホールで一般相対論を検証」,D. サルティス/S. S. ドールマン,2015年12月

    浮上した直接崩壊シナリオ
    tokyocat
    tokyocat 2018/08/25
    「爆誕」?
  • 体で計算するコンピューター

    それは先へ行くほど細くなる40センチほどの白く細長い物体で,巨大なタコの足だと言われれば,確かにそんな形と感触だった。両端をつかんで持ち上げると,軟らかくカーブを描いて垂れ下がる。「3Dプリンターを使って,高分子材料のシリコーンで作りました」と東京大学特任准教授の中嶋浩平は話した。 この人工タコ足を水槽の中に吊し,根元に付けたモーターでランダムに振ると,タコ足は身をくねらせ,踊るように複雑に揺れる。そして数分もすると,自らの動きから「パリティチェック」と呼ばれる基的な非線形演算の計算方法を習得し,正しい答えをはじき出すようになる。そればかりか,機械学習の性能をチェックするのに使う非線形の学習課題のいくつかを,従来のニューラルネットを超える正確さでやってのける。タコ足の中にCPUが仕込まれているわけではない。このクニャクニャしたタコ足そのものが,学習に必要な演算を蓄積する「リザバー(貯水槽

    体で計算するコンピューター
    tokyocat
    tokyocat 2018/07/19
    これも面白すぎるね
  • 進化の出発点 混合栄養生命

    最初に誕生した生命は,エネルギーと栄養を有機物に依存する従属栄養だったのか,有機物に依存しない独立栄養だったのか論争が続いている。これまでは2つの説の論争だったが,環境に応じて従属栄養と独立栄養を使い分ける混合栄養生物が最初に誕生したとする新説が提唱された。きっかけとなったのは沖縄の深海底の熱水噴出域で見つかった細菌だ。熱水中の水素と硫黄をエネルギー源とする独立栄養生物だが,有機物も取り込み従属栄養生物のような代謝も行っていた。 再録:別冊日経サイエンス235「進化と絶滅 生命はいか誕生し多様化したか」 再録:別冊日経サイエンス261『生命輝く海 ダイナミックな生物の世界』 著者中島林彦 / 協力:布浦拓郎 中島は日経済新聞記者。布浦は海洋研究開発機構海洋生命理工学研究開発センターのセンター長代理。 サイト内の関連記事を読む生命科学 キーワードをGoogleで検索する独立栄養/従属栄養

    進化の出発点 混合栄養生命
    tokyocat
    tokyocat 2018/05/24
    《最初に誕生した生命は,エネルギーと栄養を有機物に依存する従属栄養だったのか,有機物に依存しない独立栄養だったのか》《環境に応じて従属栄養と独立栄養を使い分ける混合栄養生物が最初に誕生したとする新説》