「反貧困」運動は、貧困を「社会的な逸脱(あってはならないこと)」であるとして、「貧困をなくそう」とのメッセージを発しています。 これは、現に貧困状態にある者を「悪いことをしている」かのように描き出し、「存在しない」とする効果があります。 つまり、貧困が実際に存在し、それが無くならない実態があるにも関わらず、当事者の尊厳や人格を抜きにして、「貧困を無くそう」とだけ訴えるのは限界があります。 一方、『貧乏人の逆襲!』(筑摩書房)などで有名になった松本哉さんなど、自らを「貧乏人」と言ってしまう流れが若者の間に起こっています。 「貧乏人」という言葉は、「うちは貧乏人だよ!(それがどうした)」みたいに言ってしまえば、「開き直り」の言葉として使えます。 現在の文化は「消費」を基盤にして成り立っていて、例えば、ブランドのファッションを着て、洒落たカフェで食事をするようなのが「文化的」になってい