観終わったあと、心の引き出しに入れて、後から何度も引っ張り出しては味わいたくなる映画が稀にあります。私にとって『マリッジ・ストーリー』は、そんな大切な映画のひとつになりました。 「離婚を描いているのに、観ると結婚したくなる」。この映画のことをそう評した人がいるけれど、その言葉通り。アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソン演じる夫婦の離婚を巡るストーリーなのに、タイトルが『ディボース(離婚)・ストーリー』ではなく『マリッジ・ストーリー』なのは、夫婦の「愛」を描いているから。 離婚経験者の私には開始1分後にはすでにキューっと胸を掴まれるようなシーンがあり、わかってはいたことだけど、そこからはずっと涙、涙……。 この作品は、今年度のアカデミー賞でスカヨハが主演女優賞、アダム・ドライバーが主演男優賞にノミネートされたほか、作品賞、脚本賞、作曲賞にもノミネートされ、最終的には敏腕弁護士役を演じた