「日本人は集団主義だ」「日本の会社は個人主義的でなく、お互いに助け合う雰囲気がある」 こうしたイメージを持っている人は少なくないかもしれません。 小泉八雲の筆名で知られる作家、ラフカディオ・ハーンも、明治時代の日本社会を見て、この国の人々には「相手をすぐに思いやる察しのよさ」があるという言葉を書き残しています。 しかし、本当にそうなのでしょうか? 日本人は「人を信頼する」ことをどう考えているのか、オランダのフローニンゲン大学の助教授である田中世紀さんの著書『やさしくない国ニッポンの政治経済学 日本人は困っている人を助けないのか』を抜粋、編集してお送りします。 幻想としての「思いやりの国ニッポン」 ラフカディオ・ハーンの言うように明治期の日本が思いやりに溢れていて、他人の幸福が自分の幸福につながると考えている社会だったのだとしたら、どうして今日の日本は「思いやりのない」社会になってしまったの