農林水産省は5日、業務用冷凍バター2000トンを緊急輸入すると発表した。東日本大震災や福島第1原発事故などの影響で国産バターが供給不足となる恐れがあるため。11年度は1万1700トンを輸入する予定にしていたが、追加輸入によって十分な供給量を確保し、価格高騰を防ぐ。 緊急輸入は3年ぶり。今月中旬に入札を行い、11月までに引き渡しを受ける。欧米やオーストラリア産が中心となる見通しだ。 供給不足が懸念されているのは、震災による生産設備損壊や原発事故後の出荷自粛などにより、3月から4月にかけて東北や関東を中心に計約4万トンの原乳を廃棄処分した影響が大きい。昨年夏の猛暑に続き、今年6月ごろも気温が高く、牛が弱って生乳生産量が落ちたことも響いている。 国内のバター消費量は業務用と家庭用を合わせて年約8万トン。業務用バターは乳業メーカーや製菓会社が主な買い手で、クリスマスを迎える年末が最大の需要期となる