バナーデザイン:たかくらかずき 第2回「それはまるで川の流れのように」 大学を1年休学し、卒業後1年のフリーランス生活を経て、25歳で起業をしたぼくのこれまでの人生には、上司というものが存在しない。それは一部の人には羨ましがられたりしてきたのだけれど、ぼくにとってはあこがれの存在でもあった。時にミスを指摘され、時に叱咤激励され、デスクで落ち込んでいると「もう今日はいいから飲みに行くぞ!」と肩を叩かれる。上司。ああ、なんという甘美な響き。 でも、そんなぼくにも師匠はいる。 といっても、あくまで直接師事をするわけではない、いわばエア師匠だ。エア師匠は、いつも本の向こう側から師匠独自の思想を語りかけてくれる。その中の1人が坂口恭平さんだ。 インターネット曰く 坂口恭平さんはエア師匠の中でもめずらしく、現実の世界で交流のある人だ。雑誌『界遊』を発行していた時分、ぼくたちは毎号発刊時期に雑誌の中身を