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ブックマーク / nextsociety.blog102.fc2.com (8)

  • 「響け!ユーフォニアム」の組織論ー拍手をしない部員達の心理について

    はじめに 「響け!ユーフォニアム」11話で秀逸だったのは、 再オーディション時に、どちらがソロにふさわしいか、 滝先生が演奏後の拍手で決めようと提案したのに、 結局は麗奈と香織のどちらにも拍手をしない部員達の描写。 私は、この部員達の描き方に色々感じてしまった。 拍手をする人、しない人 まず拍手をしないというのは、正しい言い方ではないのかもしれない。 拍手ができなかったという方が正しいのかもしれない。 おそらく多数の部員達が拍手をできなかったのは、 どちらにも与することができないという気持ちが、 部員達の中で支配していたからだろう。 明らかに、両者の演奏後の場の空気や部員の反応を見る限り 麗奈の演奏の方が香織を上回っている事は確かだ。 香織の最大の支持者の優子ですら、麗奈の演奏に観念していた。 だからといって、部員達が麗奈に拍手を送ることをしない。 それは麗奈に与する動機が殆どの部員にはな

    「響け!ユーフォニアム」の組織論ー拍手をしない部員達の心理について
  • 響け!ユーフォニアムは「特別」と「みんな」の物語―吹奏楽の演奏とアニメ制作

    「響け!ユーフォニアム」12話を見て、 作は「特別」と「みんな」の物語であると私は感じた。 今回、それは久美子が「特別になりたい」「上手くなりたい」と泣きながら 自分に訴えかけるように主張したことで決定的になったといえる。 特に橋の上で泣きながら「上手くなりたい」というシーンは、強く心打たれる。 久美子のこのような変化には、 麗奈の「特別」になりたいという姿勢に心打たれたのか。 香織の態度や葵の退部劇の影響もあるのか。 何にしても久美子が吹奏楽部で培った経験によって 「特別」になりたいと思ったのだろう。 何より久美子がユーフォを心から好きだったことに気づいたことに他ならない。 ずっとユーフォをやっていたのも、好きだったという証明なのだろう。 そうした久美子の「特別になりたい」「上手くなりたい」「ユーフォが好き」 という様々な感情が見事に入り混じった久美子を今回は上手く描いていた。 ただ吹

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  • 「響け!ユーフォニアム」の魅力はハラハラ感と寸止め感のバランス感覚にある

    「響け!ユーフォニアム」の面白さは、 編中の物語のハラハラ感と寸止めのバランス感覚にあると思う。 「響け!ユーフォニアム」のハラハラ感 ハラハラ感とは何か。 今回10話でいえばオーディションの結果に 一部の部員が疑念を持ってしまい、 吉川優子が高坂麗奈に当たってしまうような ギスギスした展開や人間関係が壊れてしまうような展開が挙げられるだろう。 一触即発。香織が「やめて」と言わなければ、 その後に麗奈が久美子に言ったような愚痴を 麗奈が優子に直接言って、事態はより悪化していたのかもしれない。 こうした緊張感溢れる展開、部活動が部員の人間関係が、 もしかすると壊れてしまうという展開とニュアンスを含みながら 物語が進行していくことが、ハラハラ感に他ならない。 作は必ずしも安全に物語が進まない作りになっている。 何かハプニングが起こることでハラハラ感が生まれるのだ。 あすかの存在もまた面白い

    「響け!ユーフォニアム」の魅力はハラハラ感と寸止め感のバランス感覚にある
  • 高坂麗奈の圧倒的存在感「響け! ユーフォニアム」8話

    「響け!ユーフォニアム」8話は、 高坂麗奈の圧倒的存在感が際立った。 まず久美子と一緒に山に登る時の、高坂さんが髪を縛るシーン。 シュシュを、口を使って作る描写、 髪を縛る時の腋の動きが素晴らしい。 特に右脇の影の部分もきちんと描かれていて、 見ているだけで高坂さんのエロスが伝わってくる。 また久美子の顔を指でなぞる時の上唇あたりのプルルン感。 このプルルン感は久美子によるものだが、 人の顔に指を当てる行為をする、高坂さんの方がキレキレである。 自分は他の人間とは違う、 「特別」になりたいと久美子に告白した時の 高坂さんの髪の色トレス(線画の部分に色をつける)の美しさ。 この色トレスの処理を施す事で、 高坂さんが特別な存在のように見えるのは私だけか。 最後にワンピースのひるがえり。 服の生地の柔らかさを感じずにはいられない。 アニメーションの快楽性が凝縮された瞬間だ。 これらの描写によって

    高坂麗奈の圧倒的存在感「響け! ユーフォニアム」8話
  • 日本のアニメはクラウドファンディングの夢を見るか?

    はじめに 日5/10、PCゲームの「Dies irae」が5月9日にクラウドファンティングを利用した アニメ製作のプロジェクトを立ち上げ、目標金額の3000万円に対して 1日で入金待ちの金額を合わせて実質的に3000万円を突破した事を知り驚いた。 参考:『Dies irae』アニメ化プロジェクト ※ブログ更新中の5/10 19:30の時点で、 76万5千円の入金と3521万円の入金待ちとなっており、 合計で約3597万円の資金提供がされている。 私はこのゲームの事を全く知らなかったが、 たった1日で3000万以上が受け手によって資金提供されたことに、 この作品が強く支持されていると強く感じた。 この事を知って、私は日のアニメにとって クラウドファンディングの存在がより大きくなると感じ、 一方でファンと作品の関係もまた変容する可能性が起こると感じた。 今回はクラウドファンディングについて

    日本のアニメはクラウドファンディングの夢を見るか?
  • 「SHIROBAKO」12話の馬の作画について

    SHIROBAKO12話。よかったなぁ。 杉江さん(モデル杉野昭夫)を熱く語る菅野さん(モデル庵野秀明さん)。 その杉江さんの元に武蔵野アニメーションの精鋭が一致団結。 そしてえくそだすっ!の最終話が無事納品。 見事過ぎる、構成だった。 そして難題だったえくそだすっ!の馬の作画シーンも、 編で見せてくれたわけだがちゃんと凄かった。 馬の躍動感、馬らしいフォルム、見事な作画だった。 そしてEDのテロップを見たら、原画に井上俊之さんがクレジット。 おそらく馬の作画は井上さんだと推測。 堀川憲司さんも上手いジョーカーの使い方を使ってきたなぁと思った。 井上俊之さんはP.A.WORKS作品では「有頂天家族」3話で原画を手がけていたわけだが、 堀川さん人脈による縁が「SHIROBAKO」でも見られたわけだ。 菅野さんから、杉江さんを紹介され、 「SHIROBAKO」では杉江さんが描いたとされるシー

    「SHIROBAKO」12話の馬の作画について
  • 「Gのレコンギスタ」11話は混沌化する世界が戦争突入するメカニズムを描く

    「Gのレコンギスタ」11話を視聴。 今回、キャピタル・アメリアといった各勢力がある中で 各勢力の内々では個々の思惑が働くことで、 どの勢力も一枚岩ではないことが描かれていた。 ではこの各勢力が一枚岩で描かれない意味とは何か。 この事を戦争がなぜ起こるのかという視点も含めながら考えてみたい。 首脳陣の考えが違うアメリア まず、アメリアの首脳陣の考えの相違についてみてみる。 今回は、クリムの父ズッキーニ大統領が主催する出陣式に パラシュートで降りてやってくるアイーダの父スルガン総監が 大統領のやり方に因縁をつける。 息子のクリムに戦艦サラマンドラを出陣させ キャピタル勢力と戦う事を宣言するズッキーニ大統領。 対して法皇を人質に取り、早期収束を図ろうとするスルガン総監。 スルガン総監はこの事を聞いていないために、統帥権の侵害だと感じている。 以下の会話を見てみよう。 ズッキーニ「キャピタルタワー

    「Gのレコンギスタ」11話は混沌化する世界が戦争突入するメカニズムを描く
  • 「アルドノア・ゼロ」12話にみる分割アニメの物語構成について。

    「アルドノア・ゼロ」12話。1クール目の最後。 分割2クールロボットアニメの物語構成の作法を見せつけたような展開。 驚く程冷静かつ圧倒的知性で敵を打ち負かし続けた イナホ君が死んだ、いや死んだように描かれたのは驚いた。 今回、イナホは「戦争は外交手段の一つ。」と言い、 戦争と感情は交差しないという主張をしていた。 しかしイナホ君はザーツバルムの中にある地球人すべての憎しみや スレインの中にある姫様への想いといった キャラクターの怒りと憎しみとの感情の交差に巻き込まれ戦場に消えた。 マクロな視点から見たら戦争は、イナホ君の言うとおりなのかもしれないが、 ミクロな視点、個々人が戦場で戦う動機などから見れば、 戦争ひいては戦場にあるのは結局は個々人の感情のやり取りなのだろう。 上のキャプ画像はイナホが回想するシーンの1ショットであるが そんな冷静で知性溢れるイナホ君にとっても、お姫様は特別だった

    「アルドノア・ゼロ」12話にみる分割アニメの物語構成について。
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