出自で命の重ささえ変わる──残酷なカースト制度が根づくインド社会において、底辺に生きる人々が被る理不尽さは過酷そのもの。池亀彩氏(社会人類学者)の『インド残酷物語 世界一たくましい民』は、そんな格差・差別当然の社会でたくましく生きる人々の姿を活写した。 その池亀氏がインドの紀行文学の最高峰としてあげるのが、ウィリアム・ダルリンプル(スコットランドの作家・歴史家)の『NINE LIVES』だ。インドに息づく鮮烈な伝統、信仰、歌、舞踏の世界を描いた、この世界的ベストセラーの日本語版を長年熱望してきたが、パロミタ友美氏の翻訳でついに実現。『9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて』として今年1月に刊行された。パロミタ氏は、ダルリンプルの物語にも登場するバウル(ベンガル地方で歌い継がれる修行歌の伝統)の行者でもある。池亀氏、パロミタ氏とも、インドに長年暮らし、カオスを生き抜く人々に接してきた。ふ
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