ギリシャの財政危機に端を発した欧州金融市場の動揺に対するEUの追加的な政策対応が、今週の初めにようやくまとまった。対応の一環として、欧州中央銀行(ECB)も国債の買い取りを決めた。これまでECBは、FT紙の表現を借りれば「財政政策と金融政策の境を曖昧にする措置(measures that blurred the boundary between fiscal and monetary policy)」には反対してきた。それが危機の圧力で「劇的に後退(a dramatic backdown)」させられることになった。 非伝統的な金融政策のうちでも、とくに「信用緩和」と呼ばれる範疇のものには財政政策的な要素がきわめて強いといえる。それゆえ、その種の政策にどれだけ積極的に取り組めるかは、その中央銀行が暗黙ないし明示的なかたちでの支援を財政当局からどれだけ期待できるかにも大きく左右されることになる