街から映画の灯が消えた。 コロナ禍の直撃と緊急事態宣言の全国への拡大で、各地の映画館が臨時休館を余儀なくされている。これほど長期間にわたって一斉に劇場が閉じられたことは戦時中にもなく、日本映画史上初の出来事とされる。乏しい公的支援と見通せぬ先行きのなか、特に窮地に立たされているのが単館系ミニシアターだ。 そんな状況を打開しようと、「仮設の映画館」という画期的な取り組みが始まろうとしている。公開予定だった新作を有料配信して収益を各映画館に振り分けるもので、いわば製作、配給、劇場、そして観客によって成り立つ「映画の経済」をオンラインで実現し、スクリーンに再び灯がともる日まで共に乗り切ろう、という試みだ。 この起死回生策を考え出したのは、『選挙』『精神』などのドキュメンタリーで知られる映画監督・想田和弘と、配給会社「東風」。 「十分な補償のない休業要請には本当に腹が立つ。でも、私たち映画人だって