大きいことは、いいことだ。 高度経済成長期、チョコレートのCMでこのフレーズが流行ったのを年配の人は覚えているかもしれない。20世紀は大きいものが正義の時代だったのだ。なんせ、野球は巨人、プロレスはジャイアント馬場である。名前からして、デカい。ビジネスの世界を見渡しても、米ゼネラルエレクトリックのようなコングロマリット(複合的多角化企業)が成功事例とされた時代が20世紀末まで続いた。大きいことはよかったのだ。だが、20世紀は大きなおっぱいには優しくはなく、決して巨乳の時代でなかったことを教えてくれるのが本書だ。 いささか、無理のある書き出しだが、一円にもならないものの、羞恥心を持ち合わせている身としては、「おっぱいの本です」とストレートには書き出しづらい。おっぱいの本なんだが。ちょっと賢く書けば、「近代日本において、巨乳がどのようにメディアで呼ばれ、扱われてきたかを考察している」とでもなる