外国人の技能実習制度で「失踪」が相次ぐのは、賃金の未払いなど労働者の権利が往々にして守られない「ブラック」な環境が一因となっている。だが実習生は日本人が避ける仕事を担う、労働力でもある。政府は人口減をにらみ、法改正して受け入れを拡大する方針だ。 この秋、ベトナム・ハノイにある大学で、日本の介護現場で働こうとするベトナム人女性60人が、日本語を学んだ。初夏から、連日8時間。彼女たちは5月、日本の介護施設経営者の面接試験をくぐり抜けた、介護スタッフの卵だ。 彼女たちの多くは、外国人技能実習生として来日することになる。日本政府は、今年の成長戦略で、来年度にも実習生が介護現場で働けるようにする方針を盛り込んでいる。 女性たちと経営者を引き合わせたのは、長野県内で介護事業を手がける甘利庸子さんだ。「海外に頼らないと、人手不足で閉鎖する介護施設がたくさん出る」と直感。2014年、「海外介護士育成協議会