日常のなかでもっとも身近な犯罪といえば、万引きを頭に浮かべる人も多いはず。ドラマでは、少年・少女が思春期の屈折から手を伸ばしてしまうというのがおなじみの展開。ワイドショーでも孤独な高齢者による“決定的瞬間”を捉えた映像が紹介されることもしばしばだ。そうして日本ではエンタメ化され続けてきた万引きだが、日本の被害総額は年間4500億円以上。世界第2位の万引き大国であるという。 そんな万引きにスポットをあてた本が、10月4日に発売された『万引きの文化史』(レイチェル・シュタイア:著、黒川由美:訳/太田出版)。人気女優のウィノナ・ライダーが万引きをしたという仰天ニュースに関心を抱いた著者が、アメリカを中心に、世界の万引きの歴史から実態、対応策を綴った1冊だ。 例えば2003年に行われたリサーチによると、「世界でもっとも多く万引きされている商品」第1位はジレット・マッハスリーのひげそりと替刃。2位は