地方の出版社が元気だ。九州では近年、人文系のブックレットをシリーズ化したり、独自に海外作家の翻訳本を刊行したりといったユニークな動きが目立つ。地域性にこだわらない、ユニバーサルな書籍を出そうという出版人の意気込みがページの端々から伝わってくる。地方出版社と言えば郷土史やローカルな作品を扱う地味な存在という従来のイメージが覆りそうだ。 今年創立10周年を迎える福岡市中央区の弦書房(げんしょぼう)は、福岡ユネスコ協会と連携したブックレットシリーズ「FUKUOKA U ブックレット」を7月から刊行し始めた。 第1弾は社会学者の見田宗介(みたむねすけ)東京大名誉教授の『現代社会はどこに向かうか 生きるリアリティの崩壊と再生』。真の生きがいを見つけ出せれば新しい時代が開けてくる可能性はあると述べる。10月刊行の第2弾は韓国思想が専門の小倉紀蔵(おぐらきぞう)京都大教授の『東アジアとは何か 〈文明〉と