前回記事で、ドキュメンテーションを重要視しない開発業者を避けるべきだと指摘した。同様の問題は、業務システムを内製した場合にも生じている。むしろ、ドキュメントレスな困ったシステムは、内製で生み出されているケースのほうが多いような印象が私にはある。 ドキュメントレスなシステムが重大なリスクを抱えていることを、ほとんどの経営者は認識していない。なぜなら、ドキュメントレスであってもシステムのあり方は内製担当者の「頭の中」に入っているので、彼に頼めば必要な改修はやってもらえるからだ。結果的に業務システムが、担当者のエンプロイアビリティ(雇用意義)を強化するための政治的ユーティリティと化すことを許してしまう。その歪みは、担当者がいなくなったときに一挙に顕在化する。いなくなった当人としては「後は野となれ山となれ」である。 業務システムがドキュメントレスになりがちな根本的な理由は、まさにここらへんにある。
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