政府が平成22年版の「子ども・子育て白書」を閣議決定した。昨年までは通称として「少子化社会白書」と呼ばれていたものだ。特定の政策を扱った白書の呼び方を変更するというのは異例のことである。 白書の構成も昨年までとは大きく異なる。1月にまとめた「子ども・子育てビジョン」の内容を冒頭で詳しく紹介し、昨年までトップで扱っていた出生率の下落状況など少子化の進行の実態は後ろに回した。 名称変更は福島瑞穂少子化担当相(当時)の意向のようだが、政権が変わるたびに変わったのでは国民の利便性が損なわれる。毎年求めてきた人は、新しい白書が出されたのかと勘違いしかねない。 ところで、なぜ名称を変更する必要があったのだろうか。内閣府は「『少子化だ』といって尻をたたくのではなく、子育てを社会全体で支えることで、結果的に少子化を克服するということを明確にした」と説明する。 こうした発想は、白書にも貫かれている。冒頭で「