アトムの残したもの 僕らの世代にとっての「ロボット」と言えば鉄腕アトムと鉄人28号、ということになる。幼稚園のころからこの2つのアニメは欠かさず見ていたし、アトムの光文社コミックス(B5判、アトムシール付き)は毎月買ってもらっていた。 アトムと28号の差は自律型かどうかということだ。28号はラジオコントロールされる単なる「兵器」だから、指示がなければ動くことができない。しかしアトムはプログラムされた頭脳で自ら考えて行動できる。 僕は最初からアトム派だった。十万馬力(のちに「史上最強のロボットの巻」で百万馬力に改造)の原子力(!)モーターや電子頭脳、足のジェットエンジンなどの具体的にイメージできるメカに完全に魅了された。いってみれば、子供たちに漫画で「科学」を分かりやすく教えたのが手塚治虫先生で、僕らは従順な生徒だったのである。日本のロボット開発が二足歩行にこだわるのは、「アトムを作りたい」