「戦闘のための派遣」 日本の安保法案の国会審議について、アラブ世界のアラビア語報道をチェックした。最もよく出てくる表現は「日本は初めて海外の戦闘のために出兵を認める安保法案を可決」というものである。「戦闘」と訳したのはアラビア語では「qitaal(キタール)」という単語で、「殺す(qatala)」という動詞から派生した言葉で、まさに戦いや戦闘の意味である。さらに自衛隊派遣は「同盟国である米国の支援のため」と説明されている。 日本では戦争と言っても現実味は薄いかもしれないが、アラブ世界では90年代の湾岸戦争、2000年代のイラク戦争、そしていま、有志連合による「イスラム国(IS)」空爆が続き、いずれも米国が戦争を主導している。安倍首相は記者会見で「米国の戦争に巻き込まれるようなことはない」と言い切ったが、アラブ世界では「日本は米国を支援するために自衛隊を送って戦闘する」と理解されるしかない。