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ブックマーク / macgyer.hatenablog.com (10)

  • 好きなものだけあればいい:『少女は異世界で戦った』 - 冒険野郎マクガイヤー

    少女は異世界で戦った [北米盤DVD] リージョンコード1 『少女は異世界で戦った』鑑賞。美少女アクション・アイドル百合に社会批判まで入った、大好きなものだけで出来ている映画だった。 ボンクラの大好物なアクション映画といえば、大きく二種類に分けられる。一つは、脂ぎった筋肉ダルマみたいなおっさんが、血やら汗やらオヤ汁やらを流しまくりながら銃やマシンガンやバズーカを撃ったり、セガール拳で悪漢を次々と殺していくようなやつだ。もう一つは、見目麗しき美少女やセクシーな女性がボディラインが浮き出るぴっちりした衣装に身を包み、ハンドガンやら日刀やら功夫やらで男どもやモンスターをバッタバッタとなぎ倒していくような映画だ。『エクスペンダブルズ』がヒットすれば女版エクスペンダブルスの製作がアナウンスされるのは至極当然の出来事といえよう。 男子たるもの、一度はこういう映画を作ってみたいという欲望があるのは当

    好きなものだけあればいい:『少女は異世界で戦った』 - 冒険野郎マクガイヤー
  • 童貞と悪の組織:『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 - 冒険野郎マクガイヤー

    『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』観賞。お話よし、アクションよし、現実に対する批判精神ありと、前評判通り最高に面白い映画だった。ただ、一点だけ凄く残念というか勿体ない点があったのだけれども、それでも最近のアメコミ映画ではダントツに出来の良い一作ではなかろうか。 アメリカには”The Greatest Generation”という言葉がある。大恐慌時代に生まれ育ち、第二次大戦で多大な犠牲を払い、アメリカに貢献した世代を讃える言葉だ。 彼らの多くは椅子にふんぞり返った老人であるわけだが、『キャプテン・アメリカ』の面白さは、キャップが現代に蘇った現役バリバリの”The Greatest Generation”なところにある。 いや、現役バリバリどころの話ではない。作のキャップは童貞だ。キスのぎこちなさからから童貞を見抜いたブラック・ウィドゥがもう延々と「あの部署のあの娘なんてどう

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  • このゾンビ映画を作ったのは誰だ!:『ワールド・ウォーZ』と『ウォーム・ボディーズ』 - 冒険野郎マクガイヤー

    雄山「中川、今日の映画はなんだ?」 中川「『ワールド・ウォーZ』にござります」 雄山「ほう。有名なゾンビ小説映画化だな。モキュメンタリーならぬ架空のオーラル・ヒストリー形式で、ゾンビ発生による世界的危機“世界ゾンビ大戦”を乗り越えた時点から語るという、なかなかに考え抜かれた小説だったな。映画も楽しみだ」 WORLD WAR Z 上 (文春文庫) マックス ブルックス Max Brooks 中川「この中川、雄山さまの好みは熟知しておりますゆえ」 雄山「ハハハ、こやつめ。それでは、観てみるとするか」 二時間後 雄山「……このゾンビ映画を作ったのは誰だあっ!」 中川「先生、どうか落ち着いてください」 雄山「だから私はこんな下衆なシネコン映画を観るのは嫌なんだ! 人に金と時間を払わせておいて、こんなものを観せるとは!!」 雄山「ええい、我慢ならん。監督を呼べ!」 マーク・フォースター「わ……私で

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  • パヤオ勃ちぬ:『風立ちぬ』 - 冒険野郎マクガイヤー

    かつて庵野秀明は『紅の豚』について「全裸の振りして、お前、パンツ履いてるじゃないか!」「おまけに、立派なパンツ履きやがって!」と評した。その庵野秀明が主演声優として参加した『風立ちぬ』を観たのだが、宮崎駿の最高傑作ではないかと感じた。宮崎駿がパンツを脱いでいるところが良い。パヤオの立派なパンツに隠されていたチンコは、意外にもデカかったのだ。 『風立ちぬ』はとにかくエロい映画だ。「右手がメカで左手は美少女、そして口からは説教」*1が宮崎アニメの特徴であるが、作のメカニックと美少女はとにかくエロい。単にキスシーンが多くて初夜のときめきが描かれているからとか、飛行シーンが美しいからという理由からだけではない。ヒューマンビートボックスすれすれのとんでもない手法で作られたSEが単なるメカニックである飛行機や自然現象である地震を生き物のように描いているという理由もあるが、どちらのエロさも死と結びつい

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  • 神の不在と越境について:『桐島、部活やめるってよ』 - 冒険野郎マクガイヤー

    格差があって、戦争がある。だから――学校は、世界だ。 あちこちで評判の良い『桐島、部活やめるってよ』を観たのだが、聞きしに勝る映画だった。いわゆるスクール・カーストがテーマなのだが、高校生活から20年以上経たんとしているおっさんの自分にも、他人事とは思えない描写が満載だった。 あまりにも面白かったので、その後原作小説も読んだ。面白かった。面白かったのだが、映画化するに当たって、どこを切り捨ててどこを膨らませるかの選択が絶妙だと感じた。 ぬおおお…!桐島は原作が映画をレイプするというなかなか珍しい現象を生んでいるやもしれませぬ。 という原作者の呟きが、さもありなんという感じだった。 桐島、部活やめるってよ (集英社文庫) 朝井 リョウ 原作は、複数人の高校生による一人称視点での短編が続く連作形式なのだが、映画はこれを『レザボア・ドッグス』や『現金に体を張れ』といった時間軸をシャッフルする形式

    神の不在と越境について:『桐島、部活やめるってよ』 - 冒険野郎マクガイヤー
  • 大家族 この狂気するもの:『痛快!!ビッグダディ12 ・2週連続スペシャル!1』 - 冒険野郎マクガイヤー

    いま目の前のテレビにとんでもないものが映っている。どうみても物としか思えない夫婦喧嘩だ。 ただの夫婦喧嘩ではない。いわゆる修羅場なのだが、普通テレビで表現される夫婦喧嘩は特徴的な会話や身ぶり手ぶりのみをつまんで、軽く見られるように編集するものだ。だが、この夫婦喧嘩は違う。わざと長い間をとったり、同じ言葉をちょっとだけ違う使い方で何度も繰り返す男の言葉をテロップで強調したり、テーブルの横に座り込む女が死んだような目をしていたり……人生のそこここで発生する嫌な雰囲気や不快な時間を強調する作りだ。そして、このまま「次週に続く」 この夫婦、ただの夫婦ではない。男は48歳同じ女とバツ2、前との間に子供12人うち8人をひきとる。女は28歳おそらくバツ1以上子供5人。現在男の子供を妊娠中。 すなわち大家族ものなのだが、ただの大家族ものではない。 そして驚くべきは、この番組が地上波のゴールデンタイムで

    大家族 この狂気するもの:『痛快!!ビッグダディ12 ・2週連続スペシャル!1』 - 冒険野郎マクガイヤー
    toshi20
    toshi20 2011/10/10
    子供達の流転を見ると、番組名を「輪るビッグドラム」に改名すべきだと思う。
  • 名も無きジブリの民:『仮りぐらしのアリエッティ』 - 冒険野郎マクガイヤー

    スタジオジブリって、もう完全に次世代を育成することを諦めたんだと思うんだよね。吾朗ちゃんこと息子の宮崎吾朗とか、名も無きスタッフとかが監督した映画が稀に発表されるけど、でもそれってポーズに過ぎないんじゃないかと思う。 それほどまでに宮崎駿や高畑勲の才能は圧倒的だ。スタジオとしてTVシリーズをやっているわけでもないから若手に演出のチャンスも回ってこない。何よりも、若手がジブリ映画を監督する場合は、駿や勲が実のところ全く気にかけていない「ジブリっぽさ」というものに、留意せざるを得ない。そこが作り手にとっては辛い所だろうし、受け手にとってはつまらない所になる、少なくとも自分にとっては。 借りぐらしのアリエッティ [DVD] だから、駿と勲以外のジブリ作品には興味が湧かなくて、『ゲド戦記』は怖いものみたさで観たものの、『借りぐらしのアリエッティ』はスルーしていた。 でも、ニコ生の岡田斗司夫ゼミで岡

    名も無きジブリの民:『仮りぐらしのアリエッティ』 - 冒険野郎マクガイヤー
    toshi20
    toshi20 2011/07/11
    僕の解釈は逆だな。「借り」する側が「古い世代」の話だと思う。宮崎駿は「アリエッティ」の目線で語り、米林監督は「翔」の目線で物語を紡いでいると思ったけれど。
  • さや侍のすべてはさやの中:『さや侍』 - 冒険野郎マクガイヤー

    『さや侍』鑑賞。一見、ウェルメイドな映画にみえるものの、実は松映画三作の中で最もエクストリームなメッセージを放つ作品ではないかと思ったよ。 立ち位置を再度説明しておくと、自分は『夢で逢えたら』を観て以降、ずっと松信者だ。『ごっつ』も『ガキ使』も毎週録画し、『ひとりごっつ』と『働くおっさん人形』はDVDに焼いた。『放送室』はmp3レコーダーで何度も聞いた。『ダウンタウンの流』のLDと『松風'95』のTシャツは今や家宝だ。 だから、『大日人』を駄作などどぬかす輩には口角泡を飛ばして説教だ。これこれこういう理由で『大日人』は傑作なのだ、最後にちょっと逃げちゃったけどそれでも傑作なのだ、だからこそハリウッドからリメイクのオファーまで来たではないか、やっぱり日人は海外からの評価無しでは異質な才能を認められないんだよねーーー……などとしたり顔で何時間でも語っていられる。 しかし、そんな信者

    さや侍のすべてはさやの中:『さや侍』 - 冒険野郎マクガイヤー
    toshi20
    toshi20 2011/06/18
    読んでて泣きそうになった。
  • 映画監督押井守にとっての勝利と敗北──もしくはキャメロンに「負けた」理由 - 冒険野郎マクガイヤー

    勝つために戦え!〈監督篇〉 ライムスター宇多丸が先週タマフルでお薦めしていた押井守の新刊「勝つために戦え! 監督編」を読んだのだが、面白かった。 TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル 前作にあたる「勝つために戦え!」は何年も前に読了済みなのだが、自分はあんまりサッカーに興味が無いので、押井守の言いたいことも分かるのだが正直あんまり楽しめなかった。 だが、今回は「映画監督にとっての勝ち負けとは?」に特化した内容で、その視点でゴダールやヒッチコックや深作欣二から、キャメロンや北野武や三池崇史までを俎上に乗せ、聞き役の野田真外相手に語りまくるという、映画監督押井守が大好きな自分にとってはかなり満足な内容のであった。 押井守の考える、映画監督にとっての勝利とは、次の二点だ。 常に映画を作り続けることができる(理想は死ぬまで) 「自分の」映画を作れる だから、常にヒッ

    映画監督押井守にとっての勝利と敗北──もしくはキャメロンに「負けた」理由 - 冒険野郎マクガイヤー
    toshi20
    toshi20 2010/03/21
    で、出来上がったのが「アサルトガールズ」か。押井さんはこれほど批評性に優れているから、他人から持ち込まれた企画に取り組んだ方がムーヴメントを生み出せる作家。次の『攻殻』との出会いを待つしかないか。
  • しんぼりっくアナリストとしての映画監督:「しんぼる」 - 冒険野郎マクガイヤー

    私は松人志の信者なので、彼が出る番組は全て観る。ラジオも聞くし、映画も観る。「大日人」はつまらんとか映画じゃないとか言う輩には顔を真っ赤っ赤にして説教だ。これこれこういう理由で、「大日人」は傑作なのだと。 だから「しんぼる」も真っ先に観にいったのだが、なんだか「2001年宇宙の旅」を目指したら「TAKESHI'S」になってしまった……みたいな映画だったよ。 2001年宇宙の旅 [DVD] TAKESHIS' [DVD] 北野武 松人志の映画における主題、それは松自身だ。それはそれで結構なことだと思う。自分の中にあるやむにやまれぬ思いや狂おしい情念などを、映像的な表現としてスクリーンに投影することが「映画」であるからだ。 しかし「しんぼる」の問題は、それがあまりにも分かりやすすぎることではなかろうか。 以下、ネタバレ。 以前、お笑いマニアである従姉妹が松人志のことを「神」と呼んで

    しんぼりっくアナリストとしての映画監督:「しんぼる」 - 冒険野郎マクガイヤー
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