写真1 システム・コンサルタントの奥谷義典氏 「情報化、IT化について、雑誌などでしばしば、“動かないコンピュータ”が話題になる。しかしそれは技術的な問題に過ぎない。深刻なのは使われないシステムだ」。今年3月4日、高松市で開かれたJ-SaaSキャラバンセミナーに出演したシステム・コンサルタントの奥谷義典氏(ソレキアの元高松支店長、現顧問)の発言に、一瞬だが会場がざわめいた。 「システムはちゃんと動くのに、誰も使わない。つまりITの導入に成功しても、IT化に失敗するケースが見受けられる。多くは、現場のユーザーや業務の実態を無視した頭デッカチ、机上の空論に起因している」。 思い浮かぶのは、2001年1月のe-Japan重点戦略をきっかけに始まった、電子政府・電子自治体プロジェクトだ。例えば2004年の3月に鳴り物入りでスタートした「パスポート申請システム」。開発と運営に、政府は約21億円もの巨