ブックマーク / blog.tatsuru.com (5)

  • 民主政の終わり - 内田樹の研究室

    都知事選の翌日にニッポンドットコムという媒体からインタビューを受けた。以下はその記事に少しリタッチしたもの。 今回の都知事選では、選挙は民主主義の根幹を為す営みであるという認識がかなり深刻な崩れ方をしているという印象を受けた。選挙というのは有権者が自分たちの立場を代表する代議員を選ぶ貴重な機会であるという認識が日からは失われつつあるようだ。 投票する人たちは「自分たちに利益をもたらす政策を実現してくれる人」を選ぶのではなく、「自分と同じ部族の属する人」に投票しているように私には見えた。自分と「ケミストリー」が似ている人間であるなら、その幼児性や性格の歪みも「込み」で受け入れようとしている。だから、仮に投票の結果、自分の生活が苦しくなっても、世の中がより住みにくくなっても、それは「自分の属する部族」が政治権力を行使したことの帰結だから、別に文句はない。 自分自身にとってこの社会がより住みよ

    toshikish
    toshikish 2024/07/12
  • 暴力について - 内田樹の研究室

    文春オンラインに「暴力」についての質問に答えた。いま、ネットで公開されているけれど、そのうち新しい記事に埋もれてしまうだろうから、ここに残しておく。 -ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争‥...日々メディアやSNSから凄惨な光景が流れてくる時代を私達は生きています。圧倒的な暴力をまえに、倫理や道徳というものは無力なのでしょうか。 内田「圧倒的な暴力」を前にしたときに私たちがまずなすべきことは「圧倒的な暴力」を「制御可能な暴力」に縮減することです。それは質の転換のことではなく、量の規制のことです。 国際関係論では「危機」を二種類に分別します。danger とriskです。danger は「人知を以ては制御不能の危機」、「黙示録的危機」のことです。それに対してrisk は「コントロール」したり、「マネージ」したり、「ヘッジ」したりすることができる危機のことです。政治外交の要諦は「デインジャ

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    toshikish 2023/12/03
  • 豊かな社会とは - 内田樹の研究室

    『診療研究』というコアな雑誌に標記のような原稿を寄稿した。いつもの話ではあるけれども、こういうことは何度繰り返し語っても足りないのである。 これまでずいぶん長く生きてきたけれども、日の国力がこれほど低下した時期は過去になかった。パンデミック、異常気象、ウクライナ戦争、人口減...など地球的規模での大きな問題が目白押しのところに、国内では、政治とメディアの劣化がとめどなく進行し、経済は衰退局面を転がり落ち、国民生活の最後の支えである教育と医療も気息奄々というありさまである。どこにも希望が見られない。 それでも気を取り直して、よくよく見れば、日の国力にはまだまだ余力がある。列島には豊かな山河がある。温帯モンスーンの温和な気候と肥沃な土壌と豊かな水資源に恵まれ、植物相・動物相は多様で、温泉や桜や紅葉の名所や神社仏閣のような観光資源はいたるところにあり、文化もエンターテインメントも伝統芸能も

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    toshikish 2023/05/02
  • ある共産党員への手紙 - 内田樹の研究室

    共産党員で、私のの愛読者でもあるというSさんという方から手紙を頂いた。松竹伸幸さんの「共産党党首公選」をめぐる論争で私が松竹さんの行動を支持していることについてである。共産党の党規約はよくできていて、党運営も民主的であるのだから、松竹さんは「意見があるなら、党内でドンドン発言しなさい」という『しんぶん赤旗』の読者投書を引いて、私の行動をやんわりと批判するものだった。それに対してこんな返信をした。 Sさま はじめまして、内田樹です。 お手紙と投書拝見しました。ご指摘ありがとうございます。 松竹さんの件については、実は僕も困惑しています。 僕は非党員ですから、共産党の党規約というものがどんなものだか知りません。共産党の党内民主主義の実相についても存じ上げません。 松竹さんは現役の共産党員であり、長く党中枢にいた人で、僕が実際に存じ上げて、人間を信頼している方ですので、その方から「党首や党幹部

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    toshikish 2023/03/29
  • 日本学術会議の独立性を侵害する政府の法改正方針を直ち に撤回することを要望します。 - 内田樹の研究室

    内閣府は 12 月 6 日、日学術会議と協議を行わないまま「日学術会議の在り方に ついての方針」を公表しました。方針では「政府等と問題意識と時間軸を共有」し、会 員選考において「第三者の参画」を行い、「内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に 行われるよう必要な措置を講じる」と明記されています。この内閣府の方針は、梶田隆 章日学術会議会長談話や、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の社説、および日学術会 議の「声明」( 12 月 21 日)で言及されたように、日学術会議の独立性と学問の自由 を著しく侵害するものです。 さらに 12 月 8 日および 12 月 2 1 日の日学術会議総会における内閣府笹川武総合政 策推進室長の説明では、現行の3部構成に加えて第4部を設置すること、直近1月の通 常国会に法案を提出すること、第 25 期の任期(9月末日満了)を 1 年半ほど延長し、 第 26

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    toshikish 2022/12/30
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