その結果、2対12と大敗した。國保監督は、佐々木を起用しなかった理由をこう話した。 「故障を防ぐため。ここまでの球数、登板間隔、気温……私が判断しました」 その時、応援席から心ない野次が飛んだ。 「本気で甲子園に行きたくねえのか!」 すかさず、監督や大船渡ナインを擁護する、岩手訛りの声も飛んだ。 「やめろー、そんな罵声を浴びせるのはやめろー」 思わぬ形で耳に入ってきた応援席の口論に、國保監督も動揺を隠せなかった。唇を噛みしめ、報道陣にこう告げた。 「一度、ここで(グラウンドでの取材を)終わって良いですか?」 この日、國保監督が先発のマウンドに送ったのは、決勝までの5試合で登板がなかった変則右腕の柴田貴広だった。柴田は大会前の練習試合で、とりわけ強豪私立を相手に好投が続いていたという。だが、春からの戦いを見る限り、柴田は4番手に位置づけられる控え投手だった。しかも、左打者が多い花巻東打線に、
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